歯周病治療
当院の院長は歯周病治療を専門的に学び、経験を積んで参りました。
その知識と経験を生かし、しっかりとした検査・診断のもとできるだけ御自身の歯を無理なく残せるよう努めてまいります。
歯周病は進行すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてなくなり、うまく咬めなくなり、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。 歯を失う原因としては虫歯よりも多く、失われた骨はほとんどの場合回復させることができません。 早めに対処して進行をとめなければならないのに本当にひどくなるまで自覚症状がないため、気づいたときにはひどくなっている、そんな病気なのです。
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歯ぐきに炎症が起きている状態です。歯を磨くと出血します。プラークや歯石など炎症を引き起こす原因を除去すれば治ります。 |
炎症が歯を支える周りの組織に及び骨が溶けはじめます。歯周ポケットが深くなってきます。 |
歯茎の腫れ、骨の吸収が進行しています。歯周ポケットに細菌が潜んでいるため膿が出てきます。 |
歯を支える骨が溶け、歯の根が露出します。歯がグラグラしてきます。歯並びも変わってきます。 |
以下のチェック項目に1つでも当てはまったら、要注意です。 なるべく早めにご来院ください。
- 口臭があるといわれる
- 朝起きた時、口の中がネバネバする
- 昔より歯が長くなったように見える
- 食べ物が歯のすき間にはさまりやすい
- 歯がグラグラする
- 歯磨きの時、出血することがある。
- 歯茎が赤く、腫れている
- 歯茎から膿みがでる
当院での一般的な歯周病治療の流れをご説明します。症状によってはこの限りではありません。
- 問診
- 患者様のいまの状態を把握し治療計画をたてるために、どのような症状があるかや、
糖尿病等のそのほか全身疾患の有無などをお聞きします。

- 歯周病検査
- 歯周病の進行程度(初期・中等度・重度)を診査していきます。
歯周ポケットの正常範囲は1mm〜3mmです。 それ以上の深さの方は歯周病治療が必要です。

- 初期
- ポケットが4mm〜6mm
- 中等度
- ポケットが6mm〜8mm
- 重度
- ポケットが8mm以上

- プラークコントロール指導
- 歯肉の炎症はプラークを除去することにより消退します。
ブラッシング・歯間ブラシ・デンタルフロスでの毎日のケア方法について指導します。

- スケーリング(歯石取り)
- 90パーセント以上の人にある歯石の表面は
ザラザラしているためプラークが付きやすく、
付いたプラークが落ちにくくなり、歯周病につながりますので
定期的にスケーリングする必要があります。

- スケーリング ルートプレーニング
- 歯周ポケットの奥に及ぶ感染を掻爬して取り除きます。
場合によって麻酔を用いておこないます。

- 外科治療
- プラークコントロールやスケーリング、スケーリングルートプレーニングを行っても症状が改善しない部分に対しては、歯周外科治療を行います。

- 治療後の歯周病検査
- 歯周病度の再検査を行い、改善されたかどうか判定します。

- メンテナンスと予防
- 定期的にメンテナンスに来て頂き、予防についても指導します。
歯周病は40歳を超えてから自覚症状が出始めることが多いですが、お口の中にいる細菌の種類や全身的な問題によっては若い年齢で発症することがあります。
感染症としての診断が必要な場合は細菌検査を行い、お口の中にどの種類の細菌がどの程度いるのかを同定します。(保険外の診療になります)
歯を支えている骨が少なくなった状態では、歯周病の治療をおこなうと歯が長くなったように感じます。これは、腫れていた歯肉が引き締まるためであり、この状態でないと歯周病の進行を止めることはできません。
隙間が大きくなってしまいますが、歯ブラシのほか歯間ブラシなどの補助器具を使って、日々の管理をおこないます。
失われた骨を回復させるような手術が可能な場合があります。(保険外の診療になります) この症例では骨が約3mm回復しました。3mmというと少ないように思いますが歯の根の長さが約10mmである事を考えるとすごくメリットがあります。
歯周病はお口の中だけではなく、全身の病気に関連しているという報告があります。
- 糖尿病
- 以前から、歯周病は糖尿病の合併症の一つと言われており、糖尿病の人はそうでない人に比べて歯肉炎や歯周炎にかかっている人が多いという報告が多くあります。 また最近では、歯周病になると糖尿病が悪化するという逆の関係も明らかになってきました。つまり、歯周病と糖尿病は、相互に悪影響を及ぼしあっていると考えられるようになってきました。 歯周病治療で糖尿病も改善することも分かってきています。 歯周病菌は腫れた歯肉から容易に血管内に侵入し全身に回り、血管に入った細菌の毒素は残り血糖値に悪影響を及ぼします。 血液中の毒素は、血糖値を下げるインスリンの働きを邪魔して、糖尿病を悪化させます。
- 心筋梗塞
- 動脈硬化によって心筋に血管が狭くなったり、ふさがってしまい心臓に血液がいかなくなり、死に至る事もある病気です。 動脈硬化は、心筋に血液を送る血管が狭くなったり、ふさがってしまい心筋に血液供給がなくなり死に至ることもある病気ですが、今までは、食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が原因とされてきました。しかし最近では歯周病原因菌などの細菌感染が原因の場合もあることがわかってきました。 歯周病原因菌が動脈硬化を促す物質の発生を誘引し、血管内にプラーク(粥状の脂肪性沈着物)ができることで血液の流れが悪くなり、さらに剥がれたプラークがが血の塊になったもので血管が詰まり、狭心症や心筋梗塞を引き起こします。
- 脳梗塞
- 歯周病の人はそうでない人の2.8倍脳梗塞になり易いと言われています。 血管内のプラークがや地の固まりが脳血管に詰まる病気で、血圧、コレステロール、中性脂肪が高めの方は、動脈疾患予防のために歯周病の予防と治療が重要です。
- 妊娠性歯肉炎
- 妊娠すると歯肉炎になりやすくなるといわれていますが、これには女性ホルモンが大きく関わってくるといわれており、特にエストロゲンという女性ホルモンが歯周病原細菌の増殖を促すことが知られています。 妊娠性歯肉炎は、妊婦の50%にみられ、妊娠2~3ヶ月から妊娠中期にかけてひどくなります。妊娠性歯肉炎は歯みがきで予防できます。特に歯ぐきの腫れや出血には、歯磨きがいちばんの治療です。
- 低体重児早産
- 妊娠中の女性が歯周病にかかっている場合、低体重児および早産の危険度が高くなることが指摘されています。口の中の歯周病細菌が血中に入り、胎盤を通して胎児に直接感染するのではないかといわれ、その危険率は実に7倍と、タバコやアルコール、高齢出産などよりもはるかにリスクの高い数字なのです。 生まれてくる元気な赤ちゃんのために、確実な歯周病予防を行いましょう。
- 骨粗鬆症
- 骨粗鬆症は、全身の骨がもろくなって骨折しやすくなる病気で、日本では推定約1.000万人以上いると言われ、その約90%が女性です。 女性が閉経後、骨を形成するエストロゲンの分泌が少なくなると、全身の骨がもろくなるとともに、歯を支える歯槽骨ももろくなります。また、歯周ポケット内では、炎症を引き起こす物質が作られ、歯周炎の進行が加速されると考えられています。閉経後の女性は、たとえ歯周炎がなくても、エストロゲンの減少により、歯周病にかかりやすく、広がりやすい状態にあると言えます。
- 関節炎・腎炎
- 歯周病菌などの毒性成分が血液中に入り込み、腎臓や関節にたまれると、その場所でアレルギー反応を引き起こし、ひどくなると腎炎やリウマチ性関節炎などになります。
- 誤嚥性肺炎
- 誤嚥性肺炎とは、食べ物や異物を誤って気管や肺に飲み込んでしまうことで肺炎になることです。肺や気管は、咳をすることで異物が入らないようにしていますが高齢になるとその機能が衰え、食べ物飲み込む際にむせたりすると歯周病菌が気管から肺の中へ入り免疫力の衰えた高齢者では誤嚥性肺炎を発症します。
- メタボリックシンドローム
- メタボリックシンドロームの人には歯周病が多いことが最近の研究で明らかになっています。そして両者に共通する危険因子が肥満と糖尿病です。肥満と糖尿病がある人はメタボリックシンドロームにも歯周病にもなりやすいということがわかってきています。メタボリックシンドロームと歯周病は同時に進行し、その結果、動脈硬化の進行が加速され、心筋梗塞や腎臓病で死亡する危険性が高まります。